浴槽にかがむ裸婦像 by Pierre Bonnard - 1918年 - 85 × 74,2 cm 浴槽にかがむ裸婦像 by Pierre Bonnard - 1918年 - 85 × 74,2 cm

浴槽にかがむ裸婦像

油彩 キャンバス • 85 × 74,2 cm
  • Pierre Bonnard - October 3, 1867 - January 23, 1947 Pierre Bonnard 1918年

今日はボナール美術館で開かれている「ボナール・ヴュイヤール展ーゼイネブとジャン=ピエール、マリー・リビエールの収集品よりー」からご紹介する最後の日曜日になりました。ゼイネブとジャン=ピエール、マリー・リビエールが個人として蒐集し、現在はオルセー美術館が所蔵している絵画と素描のコレクションを9月17日まで公開しています。お楽しみください!

ボナールが絵の主題として取り上げるまで、この浴室は妻マルトの健康維持のための設備であり、心身症のケアのためのものでした。彼の絵に描かれている洗面所はボナールの家族の持ち物ですが、そのままの姿ではないので特定されることは稀です。

浴槽に屈んでいる裸婦マルトを接近した位置で、しかも上から見下ろすように描くために、ボナールはおそらく写真を利用したと思われます。写真とスケッチを用いてノルマンディーにあった家で完成させたのでしょう。

ボナールはミルクのような水と光の流れのしなやかさに注意を払って描いています。またカーテンを含めてこの場面を念入りに写し取る一方で、空間とモデルの真珠のような白い肌との抽象的な関係の緊張感に焦点を当てています。ボナールは色彩が絵にとっての必要不可欠の要素であると考えていました。量感が出ています。色彩が何気ない日用品を魅力的なものへと変換しています。

モデルの白い肌と背後のカーテンの二つの物体の色彩が、この絵の構図のバランスをとっています。中心部の平面的な色彩と丸みを帯びた楕円形の浴槽、そして女性の胴体と頭が絵にリズムを与えています。

ボナールは何度も同じ場面に立ち返って、構造やモデルのポーズを変えるなど、飽くことなく対象に工夫を凝らして描いています。そして数年後にはル・カネで入浴する裸婦の連作を描きました。

浴槽にかがむ裸婦像はドガが最も重要な題材として描いた一連の「浴女」の絵の中の一点を参考にしています。ボナール自身その絵が大好きでもあり、この題材をいろいろな方法で表現することを試みました。しかし、形と色彩を本質とする姿勢は変わることはありませんでした。

今日はデイリーアート5周年記念ウィークの最終日です!お見逃しの方は左にスワイプしてくださいね。

ズザンナ