「ツリーマン」は、おそらくヒエロニムス・ボスの最も有名なドローイング。植物や樹木、フクロウ、アヒルが描き込まれた背景を背に、木と人間の巨大な合いの子が立っています。ツリーマンの人間らしい要素は横を向いた顔だけです。
怪物の空洞の胴体の中にはテーブルを囲む人々が見え、居酒屋の一場面を彷彿とさせます。2艘のボートの上に立ち、頭には水差しと梯子を乗せたツリーマン。不安定な構造物は、結び目のある数本の縄だけで真っすぐ立っているようです。枝に止まっているフクロウ、頭の上の水差し、バグパイプ、旗に描かれた月。これらにはすべて否定的な含意があります。
ツリーマンとその周囲の動植物などのすべての要素が精密に描き込まれ、中央のモチーフのしっかりとした線から、水平線の細かい破線まで、ボスの独特のドローイングの腕前が十二分に発揮されています。
自然の風景と幻想的な世界の組合せは、ボスの絵画の典型的な特徴。ボスの『地獄』や『快楽の園』にもツリーマンと似たモチーフが見られます。
今日の作品はヨーロピアナの協力で紹介しました。ヨーロピアナは、ヨーロッパの3,000を超える団体の文化遺産コレクションのデジタル画像を収めたEUのWebポータル・サイト。『ツリーマン』はアルベルティーナ美術館の所蔵作品です。
P.S. ボスが『快楽の園』の中で、お尻に楽譜を描いていることをご存知でしたか?復元されたお尻の音楽をお聴きください。
P.P.S. デイリーアートの2023年版カレンダー(スケジュール帳も!)をお忘れなく。美術史にまつわるストーリーとアートが満載ですよ。