浜辺の岩礁 by Caspar David Friedrich - 1825年頃 - 31 cm x 22 cm 浜辺の岩礁 by Caspar David Friedrich - 1825年頃 - 31 cm x 22 cm

浜辺の岩礁

油彩、カンヴァス • 31 cm x 22 cm
  • Caspar David Friedrich - 5 September 1774 - 7 May 1840 Caspar David Friedrich 1825年頃

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒは、19世紀ドイツのロマン派の風景画家で、一般的にはこの世代のドイツ人芸術家の中で最も重要な存在と考えられています。中期に描いたアレゴリー的な風景が最も良く知られており、夜空や朝霧、葉の落ちた木、ゴシック時代の遺跡を背景とし、瞑想にふける人物のシルエットを描いたものが多く見られます。画家としてのフリードリヒの最大の関心は、自然による瞑想にありました。彼がしばしば描いた象徴的で反古典的な作品は、自然の世界に対する主観的で感情的な反応を伝えようとしています。

フリードリヒの絵画は、遠近感を薄れさせ、広大な風景の中に人間を存在させているのが特徴的なところです。美術史家クリストファー・ジョン・マレーによれば、「鑑賞者の視線を、人物の形而上学的な次元に」向けることができるようなスケールにまで、人物を縮めているのかもしれません。一部の人たちからは、フリードリヒの人生と芸術のどちらも、圧倒的な孤独感を持つものとしてしばしば注目されてきました。 美術史家や一部の同世代の画家たちはこういった解釈を、若かりし頃の喪失体験の数々や大人になってからのどんよりとした見た目のせいだと述べましたが、色白で引っ込み思案な外見は「北部出身の寡黙な男」という共通イメージを強めるのに役立ちました。

1799年、1803~1805年、1816年、1824~1826年と、フリードリヒはうつ病に苦しめられました。この時期に生み出した作品には顕著な変化があり、ハゲワシ、ふくろう、墓場、遺跡といったモチーフやシンボルの現れにそれを見ることができます。1826年以降、こうしたモチーフは彼の生み出す作品において不変の特徴となり、一方で彼の色遣いはどんどん暗く、弱弱しくなっていきました。カルスは1829年に、フリードリヒは「精神的不安定さという分厚くどんよりとした雲に取り囲まれている」と記しています。今日みたいな素敵な日にこんな悲しいお話をして申し訳ありませんが、あまりに美しいので堪えきれなかったのです。