聖なる時間 by Ferdinand Hodler - 1907~1911年頃 - 72 x 89 インチ 聖なる時間 by Ferdinand Hodler - 1907~1911年頃 - 72 x 89 インチ

聖なる時間

油彩、カンヴァス • 72 x 89 インチ
  • Ferdinand Hodler - March 14, 1853 - May 19, 1918 Ferdinand Hodler 1907~1911年頃

スイスの芸術家フェルディナント・ホドラーは、人間の経験の普遍性や、元々備わっているものではありながらも説明し難い自然界の秩序といったテーマを探索した、不思議な作品で知られています。初期の作品は写実的な画風の肖像画や風景画、風俗画といったものでした。後にホドラーは、象徴主義の独自形態である平行主義(パラレリズム)を用いることとなり、人間社会の基礎をなすとホドラーが信じていた左右対称性とリズムを強調しました。平行主義は形態構成の原理である以上に倫理的・哲学的な発想であり、自然には反復に基づく秩序があり、結局のところあらゆる人は互いに似ているのだ、という前提に拠って立つものです。

ホドラーの象徴主義者的な絵画は、アール・ヌーヴォーのただただ装飾に満ちて感覚に訴えかけるという側面を超越しています。《聖なる時間》にはいくつかバージョンがあります。この絵では、二人の女性が――同じモデルを元に描かれており、全く同じ調和の取れたダンスの衣装を着ています――人工的な風景の中で座っており、お互いの気取ったポーズが鏡合わせになっています。森羅万象の裏に流れる神話的な秩序を象徴している反復的なパターン――平行主義の基礎を、この絵でははっきりと目にすることができます。