ケルズの書 folio 29r by Unknown Artist - 800年代 - 330 x 255 mm ケルズの書 folio 29r by Unknown Artist - 800年代 - 330 x 255 mm

ケルズの書 folio 29r

• 330 x 255 mm
  • Unknown Artist Unknown Artist 800年代

ケルズの書は、ラテン語で記された装飾写本の福音書であり、様々な前置きとなる文章や目録とともに、新約聖書の四福音書が一体となって収められたもの。アイルランドのコルンバの修道院において制作され、あるいはイギリスとアイルランドの両方にあった数々のコルンバの修道院が貢献した可能性もあります。

福音書の文章の多くはウルガタから引っ張ってきたものですが、古ラテン語聖書と呼ばれる、より初期の聖書から引用された節もいくつか含んでいます。西洋のカリグラフィーの傑作であり、インシュラー体の装飾の頂点を示したこの作品。アイルランドで最も美しい国宝であるとも広く考えられています。

写本は今日では340のフォリオで構成され、1953年以降は4巻にまとめられています。今日お見せするフォリオには、マタイによる福音書の冒頭の数語が含まれています。うねるような装飾と、全体的な色の調和をご覧ください。左下の隅に立っている人物は、福音書記者マタイを表しているとされています。上の方により自然体の姿で描かれた小さい人物も、同じ人物を描こうとしたものと思われます。私が思うにこの2つの絵の出来栄えの違いは、元々この絵を描いていた者が写本を最後に手掛けるにあたって、左の空いたスペースを埋めるために後から大きい方の人物を付け足したのだ、という論をほぼ正当付けるものでしょう。これは未完成の状態だったのです。

ページ全体の中には、未完成の部分がたくさんあります。「L」の上側の左に描かれた小さな顔や、同じく「L」の上側の少し上や顔の右側に断片的に描かれた境界線、そして上の方に描かれた人物の右ひじが吐いている、おそらく空白のままになっているところなどがその例です。

聖パトリックの祝日、おめでとうございます :)