円の中の魚 by Paul Klee - 1926年 - 42 x 43 cm 円の中の魚 by Paul Klee - 1926年 - 42 x 43 cm

円の中の魚

ムスリン張のボール紙、油彩・テンペラ絵具 • 42 x 43 cm
  • Paul Klee - December 18, 1879 - June 29, 1940 Paul Klee 1926年

大好きなパウル・クレー!今日は、ベルンにあるパウル・クレー・センターのご厚意で、クレーの作品の一枚をご紹介します(近いうちに、もう何枚かご紹介する予定です)。

画家としての生涯を通じ、パウル・クレーにとって魚はとても特別な生き物でした。クレーは、魚のさまざまな色と、水の中での自由な動きに魅せられていました。バウハウスで教鞭をとっていたころにも、芸術論や授業の中に鳥とともに魚を取り入れています。クレーは、空気と水で構成される領域を、地球と宇宙の間の「中間領域」に関するものと表現しました。同時に、人間は何らかの助けを得ながら、限られた領域でしか活動できないという観点からも、中間領域となりました。

クレーの最も美しい魚の絵の一つは、1926年に制作された「円の中の魚」です。中央には、円の中に7匹の魚と2つの色のついた小さな円が描かれています。魚は、暗い背景の中で青、赤、オレンジ、緑に輝いています。土台があるので、円は、ガラスの水槽に見えます。また、この水槽は丸い形の木と引き伸ばされた木のある風景に置かれているようにも見えます。クレーが生き物を描く際によく用いたやり方として、生き物に対する彼の考え方が絵に表現されています。この絵の場合、魚の骨や内臓が描かれており、これは、クレーは、すべての形はその中身によって形づくられると信じていたためです。 

「自然の学び方」というエッセイの中で、クレーは、「物体は、その内側の在り方に対する我々の知識を通じて、物事は外側で見えている物以上のものであるという理解を通じて、外観を超えていく」と書いています。

人間や動物の骨格は、その外側を形作ります。小さな魚も、その丸い形で、目を連想させると同時に、ギアの部品やスポークに取り付けられた車輪も連想させます。

水槽の中にはっきり描かれた黒い2本の線も注目すべき点です。この2本の線は、実際のところ完全に場違いな描かれ方に思われます。しかし、これは、クレーの作品の中の垂直・水平をシンプルに象徴するものです。この線を一緒に描くことで、クレーは、上昇と下降を暗示するとともに、人間の住む世界が地球に限定されていることも暗示しています。

 

P.S. クレーの魚の絵、「魚の魔法」はこちらから!