今日はメーデー。毎年5月1日に行われている労働者たちの祭典の日です。
今日という日にどんな作品がふさわしいか、私たちはずいぶん考えました。失業者があふれ、困難な状況に置かれている人たちが大勢いる現状をよく知っているからです。そこで私たちは何か原点といえるようなものをお見せすることにしました。それがジャン=フランソワ・ミレーの落穂拾いです。収穫後の畑で落穂を静かに集める3人の女性を描いたものです。
ミレーはこの絵を1857年にサロンで発表しました。するとすぐさま中流階級以上の人々から批判が巻き起こり、この絵のテーマに疑問の目が向けられました。ある批評家はこの絵は「1783年のギロチン」を暗示していると言っています。 1848年に二月革命を経験したばかりだったため、当時繁栄を享受していた中流階級以上の人々はこの絵を労働者階級を美化したものとして警戒したのです。 彼らはこの絵を見ると、フランス社会が労働者階級によって作り上げられ、地主が彼らとともに社会主義運動に参加していたという事実を突きつけられたのでしょう。
ミレーの落穂拾いは当時の宗教画のような大きなサイズで描かれていたために理解されにくかった面もあります。この絵は貧しい労働者階級の真実の姿をリアルに映し出しています。ミレーは社会批評家でもあったようです。3人の貧しい女性が他の労働者や豊かな収穫からも遠く切り離されている様子を冷徹に描いたミレー。彼は社会の底辺に置かれている人々を心に留めていたのです。
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