画家オルガ・ボズナンスカの肖像

３月は女性史特集月間。女性画家を紹介するのは、私たちのミッションの一つ。今月は才能溢れる女性が創作した傑作が盛りだくさんですよ。最初の作品は、チェコの画家が描いた、ポーランド人画家のリトグラフの肖像画です。

画家として成功したヘレナ・エミンゲロヴァは、自身の作品にグラフィック・アートの流儀を採り入れました。1896年にミュンヘンでマクシミリアン・ダシオに師事してグラフィックスの基礎スキルを習得した後、同年にエッチング作品で画家としてデビューした彼女は、チェコの現代グラフィック・アートのパイオニアとして認められるようになりました。その頃の作風にはノスタルジックな繊細さが見られますが、その後のドライポイント技法を用いた作品では、その傾向が強まっています。彼女は、1900年以前にもリトグラフの肖像画を制作していますが、細部を省略しながらも巧みに特徴を捉えた素描は、芸術作品としてのグラフィックアートの世界におけるドライポイント技法の復興に寄与しました。

これは、当時ポーランドの画家としては一流の部類に属したオルガ・ボズナンスカの肖像。画風はフランス印象派に近いものでしたが、当人は印象派というレッテルを貼られることを好みませんでした。

今日の作品は、プラハ国立美術館の協力で紹介しました。

P.S. 今日の作品に描かれているオルガ・ボズナンスカは画家として成功したポーランド人女性ですが、その生涯には不安の影が付きまとっていました。彼女の身に何が起こったのか。知りたい方はこちら。

P.P.S. 女性画家についてもっと知りたい方は、デイリーアートの女流画家ノートブックをこちらからチェックしてみたください。