桟敷席にて by Mary Cassatt - 1878年 - 81.28 x 66.04 cm 桟敷席にて by Mary Cassatt - 1878年 - 81.28 x 66.04 cm

桟敷席にて

油彩/カンヴァス • 81.28 x 66.04 cm
  • Mary Cassatt - May 22, 1844 - June 14, 1926 Mary Cassatt 1878年

メアリー・スティーヴンソン・カサットはアメリカ出身の画家。母国での美術教育に飽き足らず、南北戦争終結後ほどなくしてヨーロッパに渡り、イタリアとフランスに遊学、1873年までにはパリに居を構えました。彼女はそこで革新的な精神を肌で感じ、印象派の画家たちと出会います。審査制の展覧会をよしとしないその姿勢に賛同した彼女は、すぐに印象派の実験的な技法を採り入れ、現代生活のイメージを好んで主題とするようになりました。1877年、エドガー・ドガは印象派の展覧会に出品してみないかとカサットを誘います。こうしてカサットは、フランス印象派の3人の女性画家の内の一人となり、唯一のアメリカ人ともなったのです。

『桟敷席にて』は、カサットの印象派絵画としてアメリカで展示された最初の作品。1878年にボストンで出品された際、この絵を見た批評家は「心に残る」と評し、カサットの絵は「多くの男性の強さを超えた」と記しました。描かれているのは、コメディ・フランセーズというパリの劇場で、午後の公演を楽しむ着飾った女性。演劇、オペラ、競馬などの娯楽はパリジャンの間で大変人気がありました。人々はショーだけではなく、仲間を見たり、見られたりする機会を楽しんだのです。そこにはもちろん、ゴシップ的な理由もありました。カサットの絵は見るという行為そのものを探究し、見る者と見られる者、観客と演者の間の伝統的な境界を打ち破ったのです。

今日は女性史特集月間の最終日。お楽しみいただけましたでしょうか。

P.S. デイリーアートのコラム「メアリー・カサット:アメリカ生まれの印象派の画家の物語」をご覧ください。 

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