イタリアでアメリカ人の両親の元に生まれたジョン・シンガー・サージェントは、若い美術学生として1874年にパリへ到着するとすぐに、並外れた才能を持つ者として知れ渡りました。この作品は24歳だった1880年、チリの外交官でアマチュア画家でもあった友人ラモン・スベルカシューがヴェネツィアのゴンドラに乗っているところを描いた絵です。サージェントはその若さですでに、ヨーロッパやアメリカの批評家や美術パトロンの注目を集めていました。同じ年のさらに早い時期、スベルカシューは、パリのアパートを背景にした妻アマリアのより正式な肖像画を、サージェントへ依頼しています。
今日私たちが取り上げた絵は、19世紀後期のヴェネツィア旅行の楽しい場面を描く一方で、サージェントの広範囲に及ぶ、多様な人々との交流も垣間見せています。サージェントはいきいきとした色彩でこの友人を描きましたが、同時にサージェント自身も、観察され描かれる対象になっています。スバルカシューは芸術家であると同時にモデルとしても登場。当時の文化的な背景のなかでの二人の友情の瞬間をとらえたこの絵は、絵画の制作過程をも魅力的に解き明かしています。
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P.S. ご存知でしたか? サージェントは有名な肖像画だけでなく、ヴェネツィアを含めた多くの旅先を描いた水彩画もたくさん残していたのです。ジョン・シンガー・サージェントの圧倒的な水彩画を探ってみましょう! サージェントのお話をさらに読むには下の記事へ。