善き羊飼い by Henry Ossawa Tanner - 1902年~1903年 - 189 x 169 cm 善き羊飼い by Henry Ossawa Tanner - 1902年~1903年 - 189 x 169 cm

善き羊飼い

油彩、カンヴァス • 189 x 169 cm
  • Henry Ossawa Tanner - June 21, 1859 - May 25, 1937 Henry Ossawa Tanner 1902年~1903年

ヘンリー・オサワ・タナーは、アメリカの芸術家であり、国際的に高い評価を得た初のアフリカ系アメリカ人画家です。多くの芸術家はアフリカ系アメリカ人の弟子を取ることを拒みましたが、1879年にタナーは、フィラデルフィアのペンシルバニア美術アカデミーに入学し、当時唯一の黒人生徒となりました。タナーが芸術アカデミーに入ろうと決断した時は、教育機関による芸術家養成の歴史の中で盛り上がりを見せていた頃でした。こういった芸術アカデミーは長い間、石膏デッサンと解剖学の講義に学びのほとんど全てを捧げるという、陳腐な考えに頼ってきました。この考えは、トマス・エイキンズがペンシルベニア美術アカデミーに「スケッチと絵画の先生」として加わったことで抜本的に変わりました。エイキンズは、生きたモデルを観察する、男子生徒と女子生徒のクラスのそれぞれで解剖学についてディスカッションを行う、人体をより熟知し理解するために死体の解剖を行うなどといった、新しい手法を推奨しました。タナーは、芸術家としての自信をつけ自らの作品を販売するようになったものの、フィラデルフィアでの人種差別に対処しなくてはなりませんでした。1891年の後半、タナーはアメリカを去りフランスへと渡りました。この絵画では、物語の方は重視せず、印象的な風景そのものを好んで描いています。タナーの息子ジェシーの記憶によれば、「善き羊飼い」はタナーのお気に入りの題材だったようです。タナーは、「神は悪と戦う助けとして我々を必要とし、我々は導いて下さる存在として神を必要とする」と考えていました。