これから3週にわたって、毎週日曜日にはロートレックの名作を特集します。サンパウロ美術館で催されている「ロートレックの赤展」は10月1日まで。残すところわずかとなりました。ご覧になりたい方はお急ぎください。
でももしもブラジルまではとてもいけない、と言う方がいたら(我々もそうですが)、これから毎週日曜日にデイリーアートを開いてみてください。
この絵は売春宿の一瞬の場面を描いたものです。鏡の前で女性が一人、いや二人静かに髪をといています。この絵は一人の女性が鏡の前で自分の髪をといている絵だと見る人(右下角の斜めに走る線を鏡と捉えて)と、これは完全に憶測の域を出ないのですが、髪の色が違うので二人だという人がいます。
この絵は画家がこのような女性たちに敬意を持って親交を結び、その私生活をよく知っていたことの証です。売春行為は当時一定の規制の元で黙認されていましたが、道徳的には社会において廃すべきものとみなされていました。当時この売春宿の絵に関する論評を書いた批評家たちは「素晴らしい素描」とか「美しい色彩」などという賛辞を公式に表することを控えつつ、絵の内容が受け入れられないと主張しています。1893年、ある批評家はこう書いています。「ロートレックの絵の題材はご婦人方にはけしてお勧めできるものではありませんが、その芸術の巧みさは否定し難いものです。」