肌色と緑色のバリエーション ーバルコニー by James Abbott McNeill Whistler - 1864~1870年 - 61.4 × 48.5 cm 肌色と緑色のバリエーション ーバルコニー by James Abbott McNeill Whistler - 1864~1870年 - 61.4 × 48.5 cm

肌色と緑色のバリエーション ーバルコニー

油彩/板 • 61.4 × 48.5 cm
  • James Abbott McNeill Whistler - July 10, 1834 - July 17, 1903 James Abbott McNeill Whistler 1864~1870年

ホイッスラーの中でも特筆に値する本作は、『紫と金色の奇想曲』のように想像力を駆使して着物姿を描いた作品と、日本美術の総合的な影響が見られる1870年代のノクターン・シリーズの中間に位置します。テムズ川と対岸のバターシー工業地区を見渡すバルコニーで、着物をまとった英国人モデルがポーズをとっています。工場の煙突は靄にかすみ、隣接するボタ山(産業廃棄物のモニュメント)は、さながら歌川広重や葛飾北斎が描く富士山のようです。変態の象徴である蝶は、前景の空想の世界と、バルコニーの向こうの現実世界とを結びつけています。この作品以降、署名の代わりに蝶のサインを描き込むようになったホイッスラーは、それによってビクトリア朝時代のロンドンと、空想上の日本の情景をつなぎ合わせているのです。  

今日の傑作は、スミソニアン博物館の国立アジア美術館の協力で紹介しました。素敵な月曜日をお過ごしください!

P.S. ビクトリア朝時代について知っておくべきことはこちらから。ホイッスラーの最も有名な作品、母の肖像についてはこちらをご覧ください。