この作品に描かれているのは、ウェールズ北部、カダーイドリス山にあるリニカイ湖。ウィルソンは、幼少期を過ごしたペネゴイスからおよそ7マイル離れたメリオネスシャーにあるこの風景を描いた最初の画家です。カダーイドリスの山頂近く、マイニッド・モイルの勾配からリニカイ湖を正面に見ています。クレイグ・カウの絶壁は単純化され、本来より高く、図案化されています。リニカイ湖の起源を火山の火口とする、当時の誤った説も手伝って、ウィルソンはこの風景を、ローマに近いアルバン・ヒルズ、とりわけネミ湖の火山性の景観に重ね合わせたのです。
ウィルソンは、この手の景観を描くのに風景画の慣習を採用した最初の画家の一人。ターナーなど多くの画家に大きな影響を与えました。
P.S. 英国の風景画の傑作をこちらからご覧ください。