ジャイアント山脈の三大岩 by Carl Gustav Carus - 1826年 - 64 × 92.5 cm ジャイアント山脈の三大岩 by Carl Gustav Carus - 1826年 - 64 × 92.5 cm

ジャイアント山脈の三大岩

油彩/カンヴァス • 64 × 92.5 cm
  • Carl Gustav Carus - 3 January 1789 - 28 July 1869 Carl Gustav Carus 1826年

三大岩を描いたこの作品は、風景を科学的正確さで描写することからは距離を置き、忘れえぬ雄大なものとして捉えるロマン主義的視点と、地質学的構造をカンヴァスの上に再現する試みとの間の関連性を示す好例です。1831年に著した『風景画に関する9つの書簡』の中でカルスは、三大岩を地層史における歴史の証言者だとしています。それは「太古の岩山の最後の痕跡」であり、彼は、議論を誘発する、ある種の地質学的な相をそこに見たのです。本作における極めて率直で科学的な目線は、史実性の概念を自然に持ち込もうとする視点に支えられています。 カルスは三大岩を「荒廃した塔」になぞらえることで、ロマン主義的修辞に結びつけましたが、これは、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒが廃墟と化したゴシック様式の教会の姿で用い、カルス自身も多用したやり方です。根底にあるのは、カルスの”earth-life art"(地球と生命の芸術)というコンセプトの根幹をなす継続性の概念です。

カルスは、リーゼンゲビルゲ、別名ジャイアント山脈を1820年の8月に旅し、彼の地を歩いて多くのモチーフを見つけたフリードリヒの足跡をたどりました。この作品は、1820年8月15日の日付が記されたスケッチにまで遡ることができます(ドレスデン美術館所蔵印刷物・ドローイング・写真コレクション, inv. no. C 1963-636)。画家は、本作の制作にあたって、手前から奥に行くにつれて徐々に明るさが変化していくような描き方に変え、陽光に輝く岩と遠景の青に溶け込んでいく高地の明るさを、前景の暗さで相殺しています。

今日の傑作は、ドレスデン美術館の協力で紹介しました。

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