聖母子 by Carlo Crivelli - 1480年頃 - 37.8 x 25.4 cm 聖母子 by Carlo Crivelli - 1480年頃 - 37.8 x 25.4 cm

聖母子

テンペラと金/板 • 37.8 x 25.4 cm
  • Carlo Crivelli - c. 1430 - c. 1495 Carlo Crivelli 1480年頃

カルロ・クリベッリは、中世美術で最初に思い浮かべる名前ではないでしょう。でも、聖母の頭上の大きなキュウリを見れば、もっと知られていてもおかしくないと思いませんか?

クリベッリはイタリア・ルネサンス期の画家。ゴシック後期の伝統的装飾性を堅持し、独自の画風を確立しました。彼が描く聖母や女性の聖人は世界を見下したような表情を浮かべていますが、引き伸ばされて高貴なその容姿には優雅な雰囲気があります。

極めて保存状態の良い本作は、画家の最高傑作の一つ。 フランドル絵画の影響と思われる細部にこだわった背景では、ターバンを巻いた人物(異教徒)が散策しています。トロンプ・ルイユ(だまし絵)のような細部は、人形のように可憐な聖母と対照的。原罪と悪の象徴であるリンゴとハエは、贖罪の象徴としてのキュウリとゴシキヒワと対立関係にあります。表面に波紋のある絹地に蝋で留められた紙片には、クリベッリの署名が見えます。

このキュウリにはすっかり参ってしまいました。贖罪の象徴だけとは思えません。

P.S. 中世絵画の幼子はなぜ醜い中年男のように描かれているのでしょうか?答えはこちら