1891年、カサットはパリのデュラン=リュエル画廊に10点の多色刷版画を出品しました。そこに描かれたのは日々を生きる女性の姿。4枚の鏡を使って、空間に奥行きと複雑さを生み出しました。この絵の親密な情景には、装いを整える花魁を描いた喜多川歌麿の木版画(デイリーアートのアーカイブでチェックできますよ!)の影響が見られます。画家は歌麿の浮世絵画を所有し、高く評価していました。上半身裸の女性が姿見の前に座り、膝元に目を落として髪を整えています。
カサットは、エコール・デ・ボザール(パリ国立高等美術学校)で1890年に開かれた浮世絵の展覧会に大いに刺激を受けました。浮世絵は、芸者や美人、相撲力士、歌舞伎役者といった都市の庶民の楽しみや、富士山の霞、桜、にわか雨、神奈川沖で高く渦巻く波濤といった江戸周辺の自然の美しさを主要な題材としていました。
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P.S. カサットの生涯についてはこちら。