Henri Rousseau
1844年のこの日、圧倒的な想像力の人、アンリ・ルソーが生まれました。生前には批評家や一般の人々から嘲笑されることもありましたが、進歩的な作家や芸術家はこの独学の画家の持つ視点の新鮮さを見抜いていました。彼はその想像力でパリの植物園から異国情緒あふれる景色を、玩具や写真から野生の動物をつくり出したのです。ルソーも他の独学画家と同じく、簡素化されたスタイル、科学理論に基づかない遠近法、明るい色彩を用いました。時に彼の絵は潜在意識の光景のようにも見えるため、その観点から、彼はシュルレアリストの先駆けと言えるでしょう。
画家は、1792年のフランス第一共和政の宣言の100周年を記念して本作を制作しています。3本の自由の木と、第一・第三共和制を象徴する2人の女性のまわりで、農民が南フランスの大衆的なダンス「ファランドール」を踊っています。ルソーはこの踊る人々をフランスの雑誌のイラストを参考に描き、風になびく旗、木のポール、寓意的な人物をつけ加えました。背景の荷馬車は仮装した音楽家で溢れていますが、それは画家が目にしたであろうパレードの風景です。彼は、優れた政治を象徴するような幸福感に満ちた光景を、明るい色彩としっかりした形で描きました。右側に見える、威厳ある共和主義党首がまっすぐ立つ姿は、揺るぎないフランス共和国の証しです。
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