今月は、コペンハーゲン国立美術館の特集月間。今日はカール・ブロッホの大変興味深い作品です。同館では、2023年2月から開催予定のカール・ブロッホ最大の展覧会を準備中。要注目ですよ。
陽光降り注ぐ美しい庭のように見える屋外から、2人の少年がキッチン・テーブルの上に山盛りの立派なシーフードを見つめています。二人は怖がりながらも、大きな爪を持ち上げたロブスターや、はさみのような顎をしたダツとウナギの入った籠に興味深々。半ば開いた引き出しから突き出ているナイフの鋭い刃先が目を引きます。のどかさと、不安を感じさせる気味の悪さとがないまぜになった情景。注ぎ込む陽光に当たって反射するナイフの鋭い刃先が、細い光の筋で強調されています。
この作品は、印象的なイリュージョニズムの技法で物体とその表面を描写する、カール・ブロッホ(1834~1890年)の類まれな能力が表れている好例です。画家は、現実に見られる効果を操り、誰が中にいて、誰が外にいるかということを問題にしています。割れた窓は、ロブスターのはさみの前では無防備ですが、一方で、引き出しのナイフの鋭い刃先との距離の近さは観る者に脅威を感じさせます。ユーモラスでありながら、不穏な雰囲気に満ちた作品です。
P.S. ヤコブス・フレルをご存知ですか? カール・ブロッホ同様、不気味さを描写したオランダの巨匠。フレルもまた、子供のいる窓際の情景を描いています。