ホメロス

2019年は、レンブランドの没後350年にあたります。これを記念してハーグにあるマウリッツハイス美術館では、レンブランドの所蔵作品すべてを展示中。その幾つかをデイリーアートでは紹介していきます。 : )

この作品では、古代ギリシアの詩人ホメロスが、レンブラントの晩年に特徴的なスタイルで描かれています。筆さばきは太く、粗く、金色のマントはパレットナイフを使って力強く描かれています。19世紀フランスの印象派のような画風です。

オランダの絵画コレクターであり歴史家、キュレーターでもあったブレディウスがロンドンでこの絵を購入した時は、作品の来歴はまだわかっていませんでした。 しかし、出来過ぎた話ではありますが、その後、制作時からの来歴がすべて判明したのです。この絵は、シチリア貴族のアントニオ・ルッフォの注文を受けて制作したものですが、ルッフォはそれ以前にもレンブラントの作品を2点購入していました。このことから、レンブラントは、存命中からオランダ共和国の国境を越えて名声を得ていたことがわかります。『ホメロス』は18世紀にイギリスに渡り、後にブレディウスが購入しました。

P.S. マウリッツハイス美術館の素晴らしいコレクションには、レンブラントの『テュルプ博士の解剖学講義』も。詳しくはこちら！