アートスタジオの窓沿いで(At a Window in the Artist's Studio) by C.W. Eckersberg - 1852年 - 274 x 231 mm アートスタジオの窓沿いで(At a Window in the Artist's Studio) by C.W. Eckersberg - 1852年 - 274 x 231 mm

アートスタジオの窓沿いで(At a Window in the Artist's Studio)

ウォッシュ・ドローイング(ペン,インク(灰色),水彩絵具(茶色))、外枠:水彩(水色) • 274 x 231 mm
  • C.W. Eckersberg - 2 January 1783 - 22 July 1853 C.W. Eckersberg 1852年

今日お届けする作品は、コペンハーゲン国立美術館からの出展です。

絵の中央にいるふたりの娘は、本作の作者クリストファー・ヴィルヘルム・エッカースベルグの実娘ジュリーとエミリーがモデルであると言われています。絵の中の娘たちは小さく見えますが、エッカースベルグがこの絵を描いた時、娘たちは既に成人していました。

娘たちはアートスタジオのコンゲンス・ニュートー広場に面する窓沿いで、広場の様子を見るでもなく、本を読んでいます。窓台の背が高いので、娘たちは実際よりも小さく見えるのかもしれません。しかし、娘たちだけに注目してもこの絵の正確な絵の背景やテーマなどは見えてきません。とすると、どうやら主役は別のものかもしれません。

その別の主役とは、この部屋そのものであると考えられています。題材の表面の材質や光の濃淡は見事で、配置されている画材は全てが完璧に調和し合っています。窓の上方に束ねられたカーテンの影と戸板の明るさのコントラスト、また、踏み台と箱の乗った小さな机に遮られた窓から床にかけての影の具合、室内と屋外の光の強弱も自然そのものです。本作のほか、エッカースベルグの作品の多くに見られるとおり、彼は数学的視点や宇宙の根幹を成す自然現象を取り入れることで、作品が混沌とするのを防ごうとしていたのです。

P.S. エッカースベルグの他にも自分の娘を作品の中に描いている画家はたくさんいます。興味のある方はこちら