シャンパン・グラスを持った自画像 by Max Beckmann - 1919年 - 65.0 x 55.5 cm シャンパン・グラスを持った自画像 by Max Beckmann - 1919年 - 65.0 x 55.5 cm

シャンパン・グラスを持った自画像

油彩/カンヴァス • 65.0 x 55.5 cm
  • Max Beckmann - February 12, 1884 - December 27, 1950 Max Beckmann 1919年

『シャンパン・グラスを持った自画像』は、マックス・ベックマンが第一次世界大戦後に描いた3作目の自画像。ベックスマンはドイツの画家、製図工、版画家、彫刻家、作家です。前2作の自画像は医務官あるいはアトリエの画家の姿でしたが、この作品ではナイトクラブのバーでくつろぐ、上品でダンディなタキシード姿の男性として描かれています。酒を飲んで陽気に騒ぐ酔っ払いは、17世紀のオランダやフランドル絵画で特に人気があった主題ですが、ベックマンが採り上げたのは、この伝統的なモチーフ。しかし、この絵から陽気な賑やかさは伝わってきません。画家の頭部は頭蓋骨のようで、肌には緑色、目には赤と黄色の色調がそれぞれ混ざっています。全身を狭苦しい空間に押し込められた画家は、窮屈そうでねじ曲げられたような姿勢。背景では気味の悪い人物が笑っていますが、左手の鏡では不穏な反響のように同じ顔が笑い返しています。

第一次世界大戦直後の時代は、政治的、社会的に混乱を極めた時期。戦時中に暴利を得た人たちがナイトクラブやキャバレー、豪華なホテルでその富を誇示する一方で、それ以外の多くの人々は貧困にまみれていました。ベックマンは、病的な美食家を気取る、正体不明の人物に扮し、おそらくベルリンのフランクフルト・ホフのバーと思われる場所で、(当時の証言によれば)その店の定番のシャンパンを注文して人生を謳歌しているようです。お高くとまったブルジョワ、社会に向けて鏡を掲げる孤独な観察者。これらは、後にベックマンの代表的な役どころになります。

今日の作品は、シュテーデル美術館の協力で紹介しました。

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