夕方、セント・キルダ・ロード by Clarice Beckett - 1913年頃 - 35.5 x 40.5 cm 夕方、セント・キルダ・ロード by Clarice Beckett - 1913年頃 - 35.5 x 40.5 cm

夕方、セント・キルダ・ロード

油彩、ボード • 35.5 x 40.5 cm
  • Clarice Beckett - 21 March 1887 - 7 July 1935 Clarice Beckett 1913年頃

クラリス・ベケットは、トーナリズムの画家マックス・メルドラムと関連のあったメルボルンの画家グループにおける、一番の重要人物とされています。彼女は1917年からメルドラムに学びました。ベケットは、メルドラムの教育を土台として、その厳格な色調構造の“科学的”システムを、詩的な雰囲気や状況へ探るシステムへと広げていき、独自の美学を発展させます。そのようにして、メルボルンの内戦時代下における、最も特徴ある作品群の一つを制作しました。

ベケットは都市や郊外の暮らしの近代性に影響を受けました。近代生活の日常要素(自動車、路面電車、電柱、舗装道路)を用いて、毎日の現実を超越し、どこまでも終わりのないような、霞がかった詩的な街景色へと構成しました。夕方や朝という主題を好んだのは単なる詩的効果のためではありません。そのかわりに彼女が引きつけられていたのは、今日の作品が例証するように、束の間の瞬間の主題の本質を描写すること、光の効果の観察、現実と幻想のあわいを霞ませるような繊細な色調のニュアンスといった、技術的な挑戦でした。