猫を抱く少女 by Gwen John - 1918~1922年 - 33.7 x 26.7 cm 猫を抱く少女 by Gwen John - 1918~1922年 - 33.7 x 26.7 cm

猫を抱く少女

油彩/カンヴァス • 33.7 x 26.7 cm
  • Gwen John - June 22, 1876 - September 18, 1939 Gwen John 1918~1922年

グウェン・ジョンは、繊細で内省的な肖像画で知られるウェールズの画家。抑制された色調と、光とモデルがまとう雰囲気に対する類まれな感受性で、無名の女性を多く描きました。生前は華やかな弟のオーガスタス・ジョン(訳注:同じく画家)と、師であり愛人でもあったオーギュスト・ロダンの影に隠れて目立ちませんでしたが、彼女の芸術は、とりわけその内面の心理状態や自制心を表現する手法によって深い影響力を持つようになったのです。

ジョンの作品は多くが小品で、親密なテーマを扱い、極めて瞑想的。 時間をかけて慎重に制作を進め、同じ構図で幾つものバリエーションを描くこともありました。モデルの女性は椅子に腰かけたり、膝に手を置いたり、視線を落としたりなど、体で表現する心の動きは最低限に抑えられていますが、その抑制された描写こそが画家の感情表現力の源でした。モデルは静寂の中で動きを止めているようですが、その存在はドラマチックな表現を通してではなく、色彩、質感、空間のかすかな変化によって強調されています。

彼女の作品の特徴は、柔らかなアース・カラーによる限られた色調。何層にも絵具を重ねた、ベルベットのような、触り心地の良さそうな画面。ジョンは、マティスやピカソ、リルケといった当時の著名人との交流もありましたが、流行の前衛的トレンドには背を向け、孤高の画家として制作に向き合ったのです。

今日の作品をもって、LGBTプライド月間は終了です。

P.S. フランスへ向かったウェールズの女性。ポスト印象派時代のパリのグウェン・ジョンについてはこちら

P.P.S. 女性画家ポストカード50枚セットには、ジョンの別の作品が採用されていますよ。新しいデイリーアート・ストアをチェックしてみてください!