バジールのアトリエ

モンペリエの名門一家出身のフレデリック・バジールは、まず1862年にパリに移り、医学を修めたのちに、絵画に専念するようになります。彼はシャルル・グレールの工房で、未来の印象派たちであるモネ、ルノワール、シスレーと友情を育みましたが、彼らはみな、有名な写実主義画家エドゥアール・マネを賞賛していました。

『バジールのアトリエ』から、その先進的な画家たちの友情や親密さをうかがい知ることができます。舞台はラ・コンダミン通りのバジールの工房ですが、それは1868年から1870年に彼とルノワールが共有していたもの。構図の中心にいるのはパレットを手に持つバジールです。彼は父への手紙で、若い男性の姿をとらえるマネの独特で力強い画風を示しながら、「マネはこの場面に私を描いた」と伝えています。帽子を着用しているマネは、イーゼル上のカンヴァスを観察しているようです。右では、バジールの親しい友人エドモン・メートルがピアノに座ります。彼の上に掛かるのはモネの静物画で、作品を買うことでバジールがモネを経済的に支援していたことが示唆されます。左の３人は誰なのかはっきりしていませんが、もしかするとモネやルノワールかもしれません。1866年のサロンで拒否されたルノワールの風景画（窓の右の顕著に額装された絵）と同様に、サロンに受け入れられなかったバジール自身の作品——ソファの上の「トイレ」、左の「網を持つ漁師」があるところへ、マネとその追随者を集めることで、バジールはアカデミーを批判し、自身の美術観念を大胆に宣言しています。

バジールは普仏戦争に参加し、数カ月後に亡くなりました。彼が早世していなければ美術史はどんなものだっただろうと、私はいつも思うのです。

P.S. 美術史と印象派におけるバジールの重要性についてさらに学びたい方は、彼の歴史を紹介するフランス印象派メガコースをチェック！ 

P.P.S. フレデリック・バジールは非常に面白い印象主義者の一人。彼の生涯と華麗な美術（上記の「トイレ」の絵もあります）について探ってみましょう！