紀元79年の今日、ヴェスヴィオ山が噴火し、ポンペイとヘルクラネウムは壊滅。正確な数は不明ですが、数千人が犠牲になりました。両市は18世紀に発掘され、当時の文化・芸術に多大な影響を与えます。 噴火によって古代ローマの生活の日常がそのまま保存されたことで、ポンペイとヘルクラネウムは世界有数の考古学遺跡の一つとなったのです。
ジョン・マーティンが鮮やかな色彩の大きな油彩画で描いたのは、この恐るべき噴火の光景。ナポリ湾をはさんだスタビアエの見晴らしの利く場所から見た大地は、安全な場所を求めて必死に逃げまどう人々で混乱に満ちています。遠景には溶岩に飲み込まれたヘラクレネウム。手前のポンペイには大劇場やバシリカなどの有名な建造物が見えます。背景にそびえ立つ噴火の初期段階のヴェスヴィオ山。溶岩が辺り一帯を赤く染め、空は火山灰の雲と稲妻の閃光でかき乱されています。
この絵は、ロンドンのピカデリーにあったエジプシャン・ホールで1822年に開催されたマーティンの個展の目玉としてお披露目されました。同ホールのある会場は、本物のトナカイと伝統衣装をまとった人々も登場するラップランドに関する展示や、「インドの恐怖」と題されたエキゾチックな動物のショーケース、アフリカ自然史博物館などの様々なアトラクションで知られた商業施設。このような趣向の会場で、マーティンの黙示録さながらの絵画は、壮大な惨事の情景を描く巨匠としての彼の大衆的人気を確固たるものにしました。しかし、当時の批評家からの受けはあまり芳しくなく、まともな芸術作品というよりもセンセーショナルな展示物として軽視されたようです。
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