フェルディナンド・ケラーはドイツの風俗画・歴史画家。今日紹介するのはちょっと陰鬱な作品です。『レディ・アブサン(アーケード、ため息通り)』は、かつて賞賛と非難を等しく浴びた悪名高い酒アブサンを寓意的に描いたもの。アブサンは暗い並木道をさまよい歩く幽霊のような女性として擬人化され、その姿は魅惑的でありながら不安も感じさせます。神秘主義、退廃、ボヘミアン的精神などに傾倒する世紀末を体現したこの絵は、インスピレーションの源であると同時に、危険の象徴でもあるアブサンの両面性を表現しています。画家としての重要な転機となった本作によってケラーは、「緑色の妖精」の陶酔的な魅力と危険性に囚われた文化的風潮の只中に位置づけられたのです。
P.S. 年の終わりが近づくこの時期、アートに囲まれて2026年を迎えるチャンスをお見逃しなく。デイリーアート・カレンダーはデイリーアート・ストアで販売中!
P.P.S. あの有名な緑色の飲み物は、パリのボヘミアンたちを魅了しました。多くの芸術家がアブサンを飲んだ訳はこちら!
Ferdinand Keller