川瀬巴水は、浮世絵の伝統に、より写実的で西洋画の影響を受けた感性を融合させることで、日本の木版画に新たな息吹を吹き込んだ新版画運動を代表する人物。版元の渡辺庄三郎とタッグを組んで、風情のある風景版画で知られるようになり、近代における広重の後継者とも目されました。
鏑木清方に師事していた巴水は、伊藤深水の『近江八景』に感銘を受けて版画に転じます。およそ40年の間に600点以上の版画を制作し、 水や大気を表現するために用いた「巴水ブルー」と呼ばれた独特の色合いで名をはせ、世界中の愛好家(スティーブ・ジョブスもその一人)の心をつかみました。
この作品に描かれているのは、青森と秋田の県境にある十和田湖の千丈幕。十和田湖は、春の新緑と秋の紅葉が美しい、方形の二重カルデラ湖です。前景に見えるのは、初秋にも関わらず、もう黄色く色づき始めた樹々の葉。湖面の向こうには、紅葉に縁どられた崖がそびえ立ち、その姿は、白い帆を掲げた一隻の舟が浮かぶ穏やかな湖面に映し出されています。
素敵な秋の初日をお過ごしください!
P.S. 月は、日本の画家たちを魅了した秋の風物詩の一つ。日本のアートに描かれた秋の月をご覧ください!
P.P.S. 川瀬巴水の作品は、2027年版ウィークリー・プランナーをお薦めする理由でもあります。デイリーアートのカレンダー・コレクションとセットでどうぞ!
Hasui Kawase