貧乏詩人 by Carl Spitzweg - 1837年頃 - 36.8 × 45.1 cm 貧乏詩人 by Carl Spitzweg - 1837年頃 - 36.8 × 45.1 cm

貧乏詩人

油彩/カンヴァス • 36.8 × 45.1 cm

  • Carl Spitzweg - February 5, 1808 - September 23, 1885 Carl Spitzweg

    1837年頃

ビーダーマイヤー時代(1815年から1848年にかけてのドイツ連邦の芸術・文化の時代)のドイツ人画家カール・シュピッツヴェークの『貧乏詩人』に描かれているのは、狭い屋根裏部屋で暮らす貧しい物書き。詩人は、まともなベッドを買う余裕がないため、床に敷いたマットレスの上に横たわっており、頭上には、雨漏りから身を守るべく開いた傘が吊るされています。当時、傘は中産階級の間で流行していた小物で、風刺画にもよく登場していました。シュピッツヴェークも、『貧乏詩人』というタイトルの3点の絵や他の作品に傘を繰り返し描いています。

部屋は寒々としていますが、詩人はストーブを使う余裕もないようです。ストーブの脇には、『私の作品の第三集』というラテン語のタイトルが記された、ボツになった原稿。暖を取るためにこの失敗作を燃やすこともできそうですが、紙の量が少ないので火は長くは持たないでしょう。こうした苦境にも関わらず、新しい詩の執筆を続ける詩人。ほぼ燃え尽きたロウソクを見る限り、彼は一晩中描き続けていたのかもしれません。

詩人の周りにある品々は、彼の文学への献身を物語っています。マットレスの脇には本が山積みになっており、制作の助けとなるように壁に記されているのは、古代叙事詩の古典的な韻律である六歩格。それでもシュピッツヴェークは、苦闘するこの知識人を穏やかなユーモアを込めて描いています。この瞬間、詩人は傑作の創作に没頭している訳ではありません。ノミを捕まえて指で潰そうとしているのです。この滑稽な描写は、ゲーテの『ファウスト』に登場するメフィストフェレスの有名な『ノミの歌』をほのめかしているのかもしれません。 

P.S. もうすぐ10月も終わり。地域によっては、だんだん寒くなってきましたね。ご自身(あるいは大切な方!)を温めたい方は、アートな靴下をチェックしてみてください。温かさは保証しますよ!

P.P.S. 芸術と文学の繋がりを強く感じている方は、『オデュッセイア』が何世紀にもわたって芸術家たちにどんなインスピレーションを与えてきたかを探ってみましょう。