今日紹介する『カリグラフィック・ガレオン』は、1766年と67年に活躍したオスマン帝国のカリグラム書家アブド・アル=カディル・ヒサーリの作品。オスマンのガレオン船には、コーランに登場するエフェソスの七人の眠り聖人の名が刻まれ、その他のモチーフはオスマン・トルコの詩や祈祷句、コーランの一節などを組み合わせた小さな碑文で構成されています。帆船の船体を形作るのは、七人の眠り聖人と犬の名。イスラム教出現以前のキリスト教の伝承を起源とする七人の眠り聖人の物語は、宗教的迫害から逃れるべく何世紀にもわたって神の庇護の下、洞窟で眠った一団が主人公。ハディース(預言者ムハンムドの言行録)とタフシール(コーランの解釈書)には、これらのコーランの言葉には人々を守護する力が宿っていると書かれています。七人の眠り聖人の名前は、船を沈没から守る護符としても用いられていました。
P.S. コーランの美しい装丁をこちらでご覧ください。