1897年8月、主にイギリスを拠点としたアメリカ人画家ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラーは『青と銀のノクターン:チェルシー』を描きました。同作は、52のノクターンの絵(黄昏時の風景や直接的な光のない景色を描いた作品)の連作をなすこととなる第一作目でした。
ホイッスラーは最初の作品に、暗い色彩を塗り重ねても滑らかさを保てるよう、すでに白の絵具で下塗りされた堅いマホガニーのパネルを選びました。パネルはノクターンのための実践的な第一の選択肢でした。滑らかで、織りや編み地ではなく、堅く吸収性のない木材は、絵具を薄い層で流し広げられる完璧な表面でした。(ホイッスラーは“ソース”と呼んだこの明るい色の薄い層をこの後も引用し続けることになります。)パネルはカンヴァスのように弾むことなく絵具を力強く擦って調整することも出来たので、ホイッスラーがよく言及していた、一体化した“エナメル”の画面に理想的に思えました。しかしその素晴らしい滑らかさのために、流れる筆致の質感が分かる状態で絵具が乾いてしまい、彼がやがてカンヴァスで層を重ねたり絵具を部分的に取り除いたりして達成した、雰囲気に富む放散や視覚的な深さは制限されることになりました。
多くのノクターンにはカンヴァスがより好まれる選択肢となりました。自然な質感と吸収性のために最終的な見た目のコントロールがしやすかったからです。
この素晴らしい絵は現在、ファン・ゴッホ美術館の展覧会『ホイッスラー:洒落男、そして破壊者』で鑑賞できます。アムステルダムにいる方はお見逃しなく!
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P.P.S. ホイッスラーの詩的な視点を 彼の最も魅惑的な10の作品のセレクションで見てみましょう。
James Abbott McNeill Whistler