自画像(絶望する男) by Gustave Courbet - 1844–1845年 - 45 cm x 55 cm 自画像(絶望する男) by Gustave Courbet - 1844–1845年 - 45 cm x 55 cm

自画像(絶望する男)

油彩、カンヴァス • 45 cm x 55 cm
  • Gustave Courbet - June 10, 1819 - December 31, 1877 Gustave Courbet 1844–1845年

197年前、ギュスターヴ・クールベが誕生しました。この機会に、史上最も「ヒップスターっぽい」自画像の一つを特集します。お楽しみあれ! :)

クールベは官選の芸術の大げさ具合に疲れを感じ、世界を見たままに表現しようと決意しました。日常の風景を、熱意を込めて写実的に描くことを通して、大衆の好みから自由になろうと励み、しきたりに対して常に挑み続けました。優雅なポーズや感動的な色彩は用いない――クールベは美を描写するのではなく、真実を描写したのです。こうした妥協のない芸術への誠実さによって、クールベは当時パリで活動していたあらゆる芸術家の中でも突出した存在となり、しばしばサロンとは別に展示を行わなければなりませんでした。クールベは、彼独自の写実的な画風を築き上げ、《世界の起源》や《石割り人夫》といった草分けたなる名画を生み出す前に、この絵画を始めとしたロマン主義の自画像をたくさん制作しています。深い感情が込められた《絶望する男》は、1845年という最初期に完成した絵のうちの一つです。目を大きく見開き、クールベはあなたをまっすぐ見つめて、髪を掻きむしっています。当時一般的であった、肖像画へのロマン主義的なアプローチは、個人の感情的・心理的な状態を表現することに関心を抱いたものでした。そして、クールベは自身のことをロマン派の画家だと思ったことはないものの、この課題に対して非常にうまく対処したのです。この自画像を見たとき、鑑賞者は彼の(題名から推察されるところの)絶望を体験するだけでなく、ギュスターヴ・クールベという人物自体がどのような人格を有しているのかについての想像もつくのです。大胆不敵で狡猾、過激で、野心家で、決意に満ちた彼。確立された絵画ジャンルに挑戦状を突きつけ、伝統的な陳腐な表現に抗議し、美術史の流れを変えようという決意を胸に抱いたクールベです。