3人の兵士

ピーテル・ブリューゲルと言えば，広大な風景や小さな生き生きとした人物 (現代の農民がよく描かれる) が住んでいる街の景色を描いたことで良く知られ，聖書，寓話，民話といった主題を描いてきた画家である。このフリック・コレクションの絵の他にはブリューゲルの「グリザイユ」画は2枚しか知られておらず，どちらも宗教的な主題のもとで描かれている。イギリスのチャールズI世が所有していたこの小さな絵画は，「ランツクネヒト」の3人組を表したものである。「ランツクネヒト」とは歩兵の傭兵のことであり，彼らの画趣に富む服装や空威張りの雰囲気は16世紀の版画家に人気であった。ブリューゲルはそのような彫刻銅版画の手本としてこのグリサイユ画を描いたのかもしれないが，真偽のほどは分からず，単に芸術作品として描かれた可能性もある。この絵で人物の優雅さが弱められているのは，現代イタリア芸術の流れを反映したものかもしれない。

今日の絵はフリック・コレクションのご協力により提供されています。

追伸：私のお気に入りのブリューゲルの絵は『穀物の収穫』です。この絵をもっと知りたい方はここで学ぶことができます。