ウィリアム・チェイス・シネコック・スタジオ by Annie Cooper Boyd - 1891-1902年頃 ウィリアム・チェイス・シネコック・スタジオ by Annie Cooper Boyd - 1891-1902年頃

ウィリアム・チェイス・シネコック・スタジオ

水彩、紙 •
  • Annie Cooper Boyd - 1880 - 1935 Annie Cooper Boyd 1891-1902年頃

ようやくワルシャワに春が来ました!すみません、興奮を隠しきれなくて :) 

今日は、シネコック・スクールで学んだ女性芸術家の一人、アニー・クーパー・ボイドについてのお話です。

アニー・クーパー・ボイドは1864年にロングアイランドのサグハーバーで生まれ、都市の発展していく産業と、のどかで趣のある海岸の風景を描くために、生涯にわたってその町に留まり続けました。

ウィリアム・メリット・チェイス創設のシネコック・スクールの生徒であったボイドは、ヨーロッパで発展していた印象主義を気に入りました。初期の作品には――ほとんどがサグハーバーの港で行き交う船や地元の建築物、うねる砂丘を描いた風景画でした――そうした影響の痕跡が含まれている一方で、他の要素に比べて線や形に頼った作品でもありました。その結果、これらの絵はある意味ドキュメンタリー的な役割を果たすこととなり、20世紀終わりにおけるロングアイランドの鯨産業と都市の日常生活を垣間見る作品となったのです。

ボイドはしばしば油彩絵具を用いましたが、シネコック・スタジオでは水彩絵の具に乗り換えました。顔料が重厚な質感の紙に滲むことで、地面の部分が泥っぽく洗い流されたような見た目になっています。チェイスのスタジオは素早いタッチで描かれています。細い輪郭線の中の色も、同じぐらいの素早さで塗られたように見えます。

風景の上に浮かぶ雲には、その周囲に空を繊細に描くことによって生じた、空白の部分だけで構成されています。雲は水平線の裾野に消えて行き、ほんのりとした赤と混ざり合うことで、かすかに見える紫の色合いとなって、日没を予感させているのです。

絵の右下のサインを見ると、このコテージはチェイスのレッスンを受けながら戸外で描いたものだという可能性が考えられます。このスケッチ自体にも十分に芸術的な表現がなされていますが、この絵はボイドが水彩に対して繊細な努力をし、そのために細心の注意を払ったことの表れであるのです。

- Anthony deFeo

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