エレーヌ・フールマン(「毛皮」) by Peter Paul Rubens - 1636年から1638年頃 - 176 x 83 cm エレーヌ・フールマン(「毛皮」) by Peter Paul Rubens - 1636年から1638年頃 - 176 x 83 cm

エレーヌ・フールマン(「毛皮」)

油彩 木板 • 176 x 83 cm
  • Peter Paul Rubens - June 28, 1577 - May 30, 1640 Peter Paul Rubens 1636年から1638年頃

440年前の今日、フランドル最大のバロック画家の一人、ピーター・ポウル・ルーベンスが生まれました。だから今日は私が大好きな彼の作品をご紹介しないわけにはいきません。彼の2度目の妻、エレーヌの肖像画です。

“…私は結婚することにした。独身生活を全うする備えができていなかったからだ。…周囲の人々には宮廷に出入りしている娘を娶るよう説得されたが、善良な中産階級の家庭から妻を迎えた。しかし私は高貴な者の悩みであるプライドについて恐れを抱いている(中略)私は、私が絵筆を取り上げるのを見て恥ずかしがらない妻を迎えるのは良い考えだと思った“ (ルーベンスが友人ニコラ=クロード・ファブリ・ド・ペーレスクに書いた手紙)1630年12月、53歳だったルーベンスはアントワープの絹商人ダニエル・フールマンの、16歳の娘と結婚します。最も親しい友でさえも二人の大きすぎる年齢差のことを話題にすることはありませんでした。彼の最初の妻イザベラ・ブラントは1626年に疫病で亡くなっています。

ここに描かれているエレーヌ・フールマンは体を両腕で隠し、貞淑で恥じらい深い古代のヴィーナスを思わせます。ちなみに、ルーベンスはティツィアーノの「毛皮を着た娘」という絵を見ていました。(この絵については過去の特集記事を参照してください)その作品の娘も毛皮のついたコートを体に纏っています。両者とも光と柔肌、そして黒いベルベットのような毛皮とのコントラストを描き出していて、非常に繊細な作品となっています。

この絵は若き妻に捧げられた作品で、古くはルーベンス自身が名付けた「毛皮」という名で呼ばれていました。妻エレーヌはこの絵をけして売却することはありませんでした。この絵は彼女の子孫に受け継がれ、1730年まで美術史美術館の所蔵品目録には入っていませんでした。

2017年10月17日から、2018年1月21日まで、ウィーンの美術史美術館ではこの西洋絵画史の巨人を讃える展覧会を開催しています。来館者は素描や油彩スケッチ、パネル画、そして大きな作品に至るまでルーベンスの全作品を見ることができます。今季見逃せない展覧会になることでしょう。