偉大なるアイガー by Alexandre Calame - 1884年 - - 偉大なるアイガー by Alexandre Calame - 1884年 - -

偉大なるアイガー

油彩、キャンバス • -
  • Alexandre Calame - 28 May 1810 - 19 March 1864 Alexandre Calame 1884年

アレクサンドル・カラメは、1810年にヴヴェイで生まれ、ジュネーヴの貧しい環境で育ちました。最初は銀行勤めでしたが、余暇の時間は風景をスケッチして過ごしました。彼の才能に気づいたある銀行員が資金を援助し、カラメよりほんの少し年上だっただけにもかかわらず当時著名であった、アルプスの風景を描く画家フランソワ・ディデイに師事することとなりました。カラメの名声が師匠の名声を超えるまで、そう長くはかかりませんでした。カラメは芸術家としてヨーロッパ中で祝福を受け、作品もよく売れました。1835年にはベルナーオーバーラントを初めて旅し、その後何年かにわたって、夏の数ヶ月は頻繁にそこに戻りました。カラメは自然をスケッチに描き、ジュネーヴのアトリエでそれを油彩画に作り替えました。今日の絵画には、アルプスの高山部分に連なる山々の景色が描かれています。描き手が選んだこの見晴らしの良い場所は、ヴェンゲルンアルプの名で知られるアルプスの草原と、クライネ・シャイデック峠の間にある森林限界のすぐ上に位置します。アイガーの頂が、絵の中央右に見えますね。前景の暗い峡谷と、朝日による逆光の効果によって、山が崇高で近づきがたい存在に見えます。背景の明るい配色が奥行きを強調しています。ゴツゴツとした露頭にとまるハゲタカは、まるで見張り人のよう。もっと低い位置に横たわる山々を描いたカラメの作品では、滝、暗い雲、風雨にさらされた松の木々がしばしば描かれるのですが、それとは対象的に、ここでの眺めは落ち着いていて平和に満ちており、激しくドラマチックというわけではありません。この絵は、カラメのスケッチブックの一つに描かれた、ペンとインクを用いたスケッチが基になっています。しかしカラメにとっては、この絵は現実を正確に表現しようとしたものではありませんでした。そうした理由から、スケッチには光の降り注ぐ様がほとんど描かれず、前景の岩も異なる形をしています。また、カラメは小さい油彩画も描いているのですが、そこでは小さな山の湖から見たアイガーの眺めが描かれていて、その湖が今回の絵の中景に描かれています。小さい方の絵は、ノイエンブルクの風景画家マクシミリアン・デ・ムーロンが描いた似たような絵を、カラメが知っていて参照したところもあります。デ・ムーロンの絵は、アルプス高山の風景を描いた最初の絵画とされています。アレクサンドル・カラメの絵画は、自然を圧倒的な力として哀愁込めて描くロマン主義の伝統を汲んでいます。この絵は元々個人が所有していましたが、1921年にゴットフリート・ケラー財団が入手しました。2003年にベルン美術館に永久貸与されるまでは、パリやヘルシンキのスイス大使館に飾られており、次いでベルンにある連邦院の連邦参事会の部屋にも飾られていました。