女性とコーヒーポット by Paul Cézanne - 1895年頃 - 130 x 96.5 cm 女性とコーヒーポット by Paul Cézanne - 1895年頃 - 130 x 96.5 cm

女性とコーヒーポット

油彩 キャンバス • 130 x 96.5 cm
  • Paul Cézanne - January 19, 1839 - October 22, 1906 Paul Cézanne 1895年頃

この絵のモデルが誰なのかはさだかではありませんが、セザンヌの家があったエクサン・プロバンス近郊のジャ=ド=ブファンで働いていた人だと思われます。セザンヌはあまりプロのモデルを雇いませんでした。それは家族やよく知っている人々の絵を描くことを好んだためですが、内気で、描くのが遅かったからというのも理由でしょう。この作品は写実的ではありますが、人物よりは形状の研究の様相があります。

この絵の中の中心的な題材は女性、カップ、そしてコーヒーポットですが、それらは正確な垂直な線、水平な線を使って非常に簡略化されています。ボリュームに対する幾何学的な手法と、物体を上から見るアングルで捉えた傾斜したテーブルは、キュビズムの先駆けです。

この絵は1895年頃のもの。印象派からの脱却を始めてから20年後に描かれたこの作品はセザンヌの作風の転換の記録です。「自然を円柱と球体と円錐で表す」ことを望んだ彼は、この肖像画をまるで静物画のように仕上げました。しかしそれでも、仕事で荒れたモデルの手や、自然で威厳のある表情には「質素な生活の象徴」への愛着が感じられます。

オルセー美術館ウィブサイトより

この肖像画は9月24日までオルセー美術館で開かれているセザンヌ展で展示されているものの中でも最高傑作の一つです。この美術展では世界中の有名美術館や個人の所蔵作品が展示されています。この展覧会では複数の同じテーマで描かれた相互補完的な作品を含むセザンヌの肖像画の特徴を、描き方や題材から明らかにしていきます。