自画像 by Léon Bonnat - 1855年 - 46 x 37,5 cm 自画像 by Léon Bonnat - 1855年 - 46 x 37,5 cm

自画像

油彩 キャンバス • 46 x 37,5 cm
  • Léon Bonnat - 20 June 1833 - 8 September 1922 Léon Bonnat 1855年

レオン・ジョセフ・フロランタン・ボナ (1833年-1922年)はフランスのバイヨンヌで生まれました。彼は画家としての実力をつける一方、後に素晴らしい画家となった者たちの恩師としても知られるようになりました。

彼の初期の作品はスペインのバロック形式による宗教的なテーマを中心としていました。フェデリコ・デ・マデラーソの元で学んでいたためでしょう。また彼はベラスケスの熱烈なファンでもありました。後期にはアメリカとフランスの著名人の肖像画が、彼の絵の主要なテーマとなります。彼の描く肖像画はほとんど写真のように実物そっくりで、彼の写実画家としての揺るぎない実力がかいま見えます。抑制の効いた色彩は、対象をより際立たせています。

55歳の時に彼は名門エコール・デ・ボザールの油彩画教授となり、後には学長になりました。もし教え子達の成功即ち彼の成功と考えるならば、ボナは大成功を収めたと言えるでしょう。彼の指導のもとで育った弟子たちにはロートレックや、トマス・エイキンズ、ジョン・シンガー・サージェント、ジョルジュ・ブラックなどがいます。

ボナは優れた名作を数多く生み出した多作の画家でしたが、私は最高傑作としてこの『レオン・ボナの自画像(1855年)』を選びます。これを見ると彼が弱冠22歳にして絵の名人であったことがわかります。 彼が天才画家であったことは疑う余地がありません。この絵の中で彼はこちらを印象深い眼差しで見つめていますが、その視線が見る者の足を止め、こちらへおいでと手招きします。ボナの射るような、それでいて親しみのこもった視線は、あたかも何か深淵な秘密でも打ち明けようとしているみたいに、あなたの注目を促します。彼が描いたのは、画家としてだけでなく、一人の人物としてこの人物をもっと知りたくなる絵でした。

ボナは長生きし、89歳で亡くなりました。故郷のバイヨンヌに残した美術館には、今もたくさんの彼の作品が展示されています。

- ヘイディ・ウェーバー