猿わか町よるの景 by  Hiroshige - 1857年 - 34 x 22.1 cm 猿わか町よるの景 by  Hiroshige - 1857年 - 34 x 22.1 cm

猿わか町よるの景

木版画(錦絵);墨, 色刷り/紙 • 34 x 22.1 cm
  • Hiroshige - 1797 - October 12, 1858 Hiroshige 1857年

庶民の享楽的な振舞いを憂慮した幕府は、江戸の娯楽産業の興隆に歯止めをかけるべく、1842年に一連の改革令を施行しました。すべての歌舞伎座は、江戸北東部の猿若町への移転を命じられましたが、この施策は裏目に出ます。人々を下世話な興行から遠ざけるつもりが、騒々しい芝居好きに食事を供する屋台や茶屋などの様々な商いで賑わう町に変貌してしまったのです。猿若町を描いたこの錦絵に描かれた江戸三座は、右手に並ぶ屋根の上に立つ櫓でそれとわかります。興行が許可されていたのは日の出から日没までの時間に限られていたので、空に満月が浮かぶ情景は、芝居がはねた後の様子です。町をそぞろ歩く人々は、さっきまでの観劇の興奮の余韻にひたっています。中へいざなうように明かりが漏れる食事処の贔屓客もいるようです。

街や劇場の人混みが恋しいです。コロナウイルス退散!今年は、昨年より事態が改善されますように。DailyArtのカレンダーとノートブックに願いをこめて。

P.S. 広重が描いた江戸の冬の情景をこちらでご覧ください!