花瓶 by Peter Binoit - 1613年 - 28.5 x 21.6 cm 花瓶 by Peter Binoit - 1613年 - 28.5 x 21.6 cm

花瓶

油彩/板 • 28.5 x 21.6 cm
  • Peter Binoit - c․ 1590 - 14 May, 1632 Peter Binoit 1613年

構図の中心にあるのはガラスの花瓶。ペーター・ビノワが描いたプラハ・ガラスの花瓶には、放射状に花が活けられています。17世紀初頭、ゲオルグ・フレーゲルやヤン・ブリューゲル(父)、ルーラント・サーフェリー、アンブロジウス・ボスハールトらの静物画にも同じように活けられた花が見られます。花瓶が据えられたテーブルの上に、茎を折られて無造作に置かれた花は命のはかなさの象徴。のろのろと這うクワガタムシは、人間の魂に対する危険を表しています。中央ヨーロッパでよく見かける花(スズラン、ワスレナグサ、オダマキ、アヤメ、ユリ)と東方の珍しい花(ニゲラ、アネモネ)の組み合わせは、花の静物画の伝統。これは、旧来から好まれていたスタイルです。実際には、ここに描かれたすべての花が同じ季節に咲くことはありません。画法に関して言うと、くっきりとした輪郭、鮮やかな色を詰め込んだ構成などの細部にペーター・ビノワらしさが表れています。これは、アンブロジウス・ボスハールトだけでなく、オシアス・べアルトとも共通する特徴です。この作品は、画家の初期の作品群の一つ。ビノワには、他にも同様のスタイルで描かれた花の静物画があります。

今日の作品は、プラハ国立美術館の協力で紹介しました。

P.S. 美術史に残る傑作、オランダの女流画家ラッヘル・ライスの花の静物画をこちらからご覧ください。