中世芸術はあまり紹介していませんが、それではいけませんね。この美しい作品をご覧ください!
このエナメル加工された飾り額は、元々、祭壇用に両面に装飾を施した大きな十字架の上に掲げられていました。チョークのように白い顔と太い眉をした悲しげな天使は、キリストの受難の証言者。天使が持つ香炉はイエスの死を宣し、パンが聖別を受けてキリストの肉体に変化したことを暗示しています。香は葬儀とミサでたかれるもの。哀愁を帯び、バランスの取れた構図、豊かな色遣い、そして虫が這ったような模様を施した手の込んだ背景。中世ヨーロッパでは名が知られていたリモージュのエナメル職人の技が光る見事な出来栄えです。
P.S. 中世アートは真面目で退屈なものばかりではありません。中世の写本に描かれた殺人うさぎのことはご存知ですか?詳しくはこちら。
P.P.S. 毎日、身近にアートを感じたいあなた。デイリーアートの2022年アート・カレンダーをこちらからチェックしてみてください。