北斎が描いたこの多色刷りの浮世絵は、『諸国名橋奇覧』シリーズの内の1点。天満橋は、淀川にかかる浪華三大橋の内で最も上流にあり、大阪城のすぐ近くに位置しています。この作品には、残暑が始まる陰暦六月に行われる天満祭の夜の様子が描かれており、提灯で飾られた橋の上は見物客であふれています。1796年刊行の『摂津名所図会』で「百聞は一見に如かず」と謳われた祭の描写と比べると、川に浮かぶ舟の数はややまばら。北斎の関心は祭よりも、優雅に弧を描く大きな橋の造形を強調することにあったようです。
橋を描いた浮世絵は、西洋美術史においても重要な役割を果たしました。その訳は明日!ところで、日本のアート50点を厳選したポストカード・セットはいかがですか。もちろん北斎もありますよ。
P.S. 北斎が描いた富士山の有名な連作『富嶽三十六景』はこちら。