画家と、ペイルを描くその妻 by Alexander Roslin - 1767年 - 131 x 98,5 cm 画家と、ペイルを描くその妻 by Alexander Roslin - 1767年 - 131 x 98,5 cm

画家と、ペイルを描くその妻

油彩 キャンバス • 131 x 98,5 cm
  • Alexander Roslin - 15 July 1718 - 5 July 1793 Alexander Roslin 1767年

1754年の夏、アレクサンドル・ロスランはスウェーデンの政治家カール・グスタフ・テッシンに依頼されてパリで様々な物を買い付けています。そして時は1760年代の半ば、テッシンの寵臣ヘンリック・ウィルヘルム・ペイルがヨーロッパ遊学の旅の途中パリに到着すると、ロスランと妻は両手を広げて迎え入れました。固い友情の証として、ロスランは、ペイルの肖像画をパステルで描いている妻マリー・スザンヌ・ギロウストと自分の姿を描きました。この絵はペイルの旅行の終わりまでに間に合うように制作されました。この絵の中に描かれているペイルの肖像画は見つかっていませんが、ギロウストによる初期の作品の複製はいくつか存在します。

この小さな絵の中でロスランが指差している金色の箱はこの絵の謎解きの手がかりの一つですが、おそらくペイルから贈られた高価な別れの挨拶の品でしょう。額には「 Loin et près (遠くと近く)」という言葉が刻まれていて、この絵が確かに友情の印として描かれたものだったことがわかります。ペイルはこの絵をこの年か少なくとも数年のうちには入手したものと見られます。スウェーデンに帰国して間もなく、彼はスウェーデン東インド会社の元ディレクター、クラース・グリルの長女アンナ・ヨハンナの娘アンナ・グリルと結婚しました。この金色の小箱に描かれている年輩の女性はおそらく母アンナ・ヨハンナと思われることから、若い方の女性はグリル嬢だとわかります。

このように見てみると、ロスランが現在イェーテボリ美術館が所蔵している肖像画を描くために1775年の9月にグリル家を訪問した理由がよくわかります。未亡人となったアンナ・ヨハンナが息子のアドルフと娘アンナ・グリルと共に描かれている肖像画は国立美術館所蔵のロスランの一連の肖像画との関連が見て取れます。しかしそれら一族の肖像画に描かれているのはグリルの娘婿ペリルではなく、娘の二人目の夫の方です。ペリルの肖像画はグスタフ・ルントベリの手によって控えめなパステル画が遺されていますが、伝統的な手法によるもので写実的ではありません。例の銘文には対の言葉があるのですが、深遠な意味を感じさせるものです。「Loin et près/Unis à jamais (遠くと近く/永遠に一つ)。

今日の作品はストックホルム国立美術館のご協力でご紹介しました。こちらのコレクションについてはもう少ししたらご紹介できますが、今しばらくお待ちくださいね!