ウィリアム・バトラー・イェイツ(1865–1939)は、当時の英語圏において誰もが認める卓越した詩人でした。 アイルランドに生まれ、アイルランド文学ルネサンスや政治問題など祖国にまつわるテーマに深く傾倒したイェイツ。初期の抒情詩とケルト戯曲で高い評価を確立した彼は、ダブリンのアビー劇場やアイルランド文芸協会の設立にも主導的役割を果たしました。
このイェイツの肖像画は、1908年に刊行された『詩集』第1巻の口絵として特別に注文されたもの。イェイツは、好んで身に着けていたベルベットのジャケットに蝶ネクタイという姿で、詩人であり耽美主義者でもある自身のイメージ作りに気を配っているようです。当時を代表する肖像画家ジョン・シンガー・サージェントは、モデルの特徴的な角張った顔立ちと若々しさを巧みに際立たせています。イェイツは、制作中のサージェントは優れた相棒だったと記し、この絵を「魅力的」で「実物以上にハンサムに描き過ぎ」と評しています。
この肖像画を見る限り、イェイツは非常に魅力的な男性だったようですね!
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P.P.S. ジョン・シンガー・サージェントは、その見事な肖像画の数々で知られていますが、ドローイング作品も、スタイルと主題の幅広さを示すものとして高い評価に値します。画家の制作過程が垣間見えるサージェントの知られざるドローイング作品をご覧ください!
P.P.P.S. サージェントにまつわる詳しいストーリーについては、以下のコラムもご覧ください!