フランツ・マルクはドイツの画家、版画家。ドイツ表現主義の主要人物の一人で、「青騎士」の創設メンバーでもあります。「青騎士」は元々、芸術誌の名前でしたが、後に同誌の発行に協力する芸術家サークルの名称にもなりました。その円熟期の作品の多くは動物を描いたもので、明るい色遣いで知られています。今日は、彼の素晴らしい木版画を紹介しましょう。
不意を突かれた馬が、今にも騎手を振り落とさんとする瞬間を捉えたこの木版画は、その際立った黒と白のコントラストによって、差し迫った危機を強調しています。マルクにとって、白に対する黒の峻厳さをはじめとする色遣いは、主に感情表現の手段であり、そこで特に表現される感情は、画家が描く動物たちのものでした。マルクはこう言っています。「馬は世界をどう見ているのだろうか?鷲は?鹿は?犬は?」もし、この『乗馬学校』が恐怖心を呼び起こすとしたら、それは騎手が抱く不安ではなく、足元に犬の姿を認めた馬の驚きを反映したものでしょう。画家自身によれば、彼が描く怯えた動物たちは、第一次世界大戦の予兆のようなものであり、恐ろしくもあり、刺激的でもありました。マルクの言葉です。「それを描いたのが自分だとは信じがたい。しかし、芸術的観点から言うならば、このような作品を開戦前に制作したことは、後で無言の反省をするよりも理にかなっている。」
フランツ・マルクは、1916年にヴェルダンの戦いで戦死しました。
P.S. フランツ・マルクの作品には、なぜ動物(特に馬)の絵が多いのか?その理由はこちら。動物ポストカード50枚セットの中にもマルクの作品がありますよ!