『抽象的なコンポジション』はイギリスの画家ジェシカ・ディスモアの作品。黒を背景に重なり合う、建材を思わせるパステルカラーの幾何学図形をモチーフにしています。垂直方向に視線を誘導し、全体の構図を2つに割っているのは、曲線の一辺を持った暗黄色の三角柱。それぞれ異なる形状と色の5つの物体が密集する前景には、小ぶりの、青みがかったピンクの図形が迫っているようです。これらの物体の配置が、明暗取り混ぜた色の相互作用と相まって、奥行きと動きを感じさせます。
ディスモアはヴォーティシズム運動の参加メンバーの一人。1912年から1915年にかけてイギリスで花開いた、文学と芸術に関する運動「ヴォーティシズム」は、ウインダム・ルイスによって創設され、芸術を工業化と結びつけようとするものでした。19世紀のセンチメンタリズムとは一線を画し、機械や機械で製造された製品が持つエネルギーを称え、純粋なる暴力崇拝につながるような思想を助長する側面もありました。その絵画の構図は抽象的かつ鋭角的で、キュビズムと未来派の影響が見られます。 詩人のエズラ・パウンドや彫刻家のジェイコブ・エプスタインも、この運動に参加していました。
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