画面中央の前景に描かれているのは、エルジビエタ・スコトニツカ(旧姓ラスキエヴィチ)の全身座像。左下隅を流れる小川の脇の木陰にゆったりと座り、僅かにこちら側を向いています。黒い瞳、鼻筋の通った長い鼻、薄い唇、色白の肌。ダークブラウンの髪を高く結い上げて、耳と首筋を露わにしています。
奥に向かって広がるイタリアの風景を背にしたエルジビエタ。画面左手、彼女の背後に見えるのは深い緑の葉が茂る太い樹の幹。右手遠方には緑の陰影に満ちた森が広がり、その向うを流れる川は右に折れながら樹々の間を遠ざかっていきます。対岸には急峻な岩場が見え、その更に奥には草地と森が続いています。
貴族階級に属する人々にとって、ヨーロッパの主要な文化的中心地、特にイタリアの都市を巡る旅は「グランド・ツアー」と呼ばれて、欠かすことができない体験とされてきました。それは、ヨーロッパの文化遺産に触れることを目的とした教養旅行。この絵は、エルジビエタとミハウのスコトニツカ夫妻のイタリア旅行中に制作されました。
今日の作品はクラクフ国立美術館の協力で紹介しました。同館では最近、所蔵作品の中から、13世紀から20世紀にかけての興味深いヨーロッパ絵画と彫刻を集めたヨーロピアン・アート・ギャラリーがオープン。現在展示中の傑作の幾つかを見てみましょう!
François Xavier Fabre