ドーラ・キャリントンは英国の画家、装飾芸術家。ブルームズベリー・グループのメンバーと交流があったことで知られていますが、特に作家のリットン・ストレイチーとは親密でした。『スペインの山あいの風景』に描かれているのは、1920年代にフランスとスペインを旅した際に彼女が魅せられたアンダルシアの風景。前景の急峻で起伏に富んだ山並みが、後景のギザギザした頂の連なりと対照を成し、馴染みのない、異国の土地の雰囲気を醸し出しています。狭い山道を行くラバとラバ追いの姿は、山並みのスケールの大きさを強調し、荒涼とした大地に生育するサボテンは温暖な気候の証。
キャリントンは南スペインの標高4,000フィートの町イェヘンでこの絵の習作を制作しましたが、そこではシエラネバダ山脈の景観を一望することができました。彼女はイェヘンの友人へ宛てた手紙にこう記しています。「イェヘンの絵を2点描くことをとても楽しんでいるわ。それは私を別世界に誘うの。どんなに心が落ち着くか言葉に表せないくらい」
P.S. ドーラ・キャリントンの生涯とその作品についてはこちら。
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