この絵には、様式化された鋸歯状の葉にドラゴンが絡みつく様子が、黄褐色の紙に墨で描かれています。中央の絵を囲むのは淡い大理石模様の枠。その外側には、巻きつくような蔓、花、葉、小鳥が描かれ、金と黒で装飾を施した幅広の帯。そこには2つの印影が遺されており、絵の下部にある印は "Abd Muhammad Sadiq”と読め、外縁にあるもう一つは摩耗が激しく判読できませんが、トゥグラ様式の紋章に似ています(トゥグラは、オスマン帝国のスルタンの公式署名として使われた、高度に様式化された文字でできた紋章)。
これは、16世紀後半のオスマン帝国で流行した装飾スタイルであるサズ様式の洗練された一例。流麗な鋸歯状の葉と躍動感のある構図が特徴的なサズ紋様は、多くの芸術媒体で用いられました。
P.S. ドラゴンは、様々な地域や文化圏の芸術の主題として親しまれてきました。東アジア芸術に見られるドラゴンの多様な表現と意味を探ってみましょう!