レモンのある静物画 by Giovanna Garzoni - 1640年代後半 - 10 7/8 × 14 インチ レモンのある静物画 by Giovanna Garzoni - 1640年代後半 - 10 7/8 × 14 インチ

レモンのある静物画

テンペラ 羊皮紙 • 10 7/8 × 14 インチ
  • Giovanna Garzoni - 1600 - 1670 Giovanna Garzoni 1640年代後半

葉のついた枝にしっかりとした実をつけているレモンが、象牙の器に溢れんばかりに添えられた精緻な静物画です。ジョヴァンナ・ガルツォーニの鋭い観察眼と確かな画力が、精密に描写されたレモンの表皮や、足長蜂の繊細な羽に見て取れます。果物の入った器を中心におくこのような構図はガルツォーニのスタイルです。花か昆虫を一つ画面に加えることによって趣を添えています。ガルツォーニはレモンの凸凹した表皮や重みのある丸さと、鋭い枝や艶やかな緑の葉、そして繊細で星のような蕾とを対比させ、細心の注意を払って質感と形状を表現しています。

科学研究とその描写は1600年代の高貴な人々にとって大きな関心事でした。そのため、「自然をそのまま切り取った絵」(natura sospesa)は当時の流行の最先端をいくものでした。ガルツォーニの卓越した画力で自然の姿を描き上げた作品は、たいてい果物と昆虫が美しく配され、裕福な顧客には垂涎の的でした。